一緒に居たい相手

オトモアイルー(モンスターハンター)ミルキ(ハンターハンター)イルミ(ハンターハンター)七海健人(呪術廻戦)杉本・尾形(ゴールデンカムイ)
※ 相手選択で飛びます。


▼ オトモアイルー(モンスターハンター)

クエストボードの前で立ちながら整体調査の依頼が無いか探しているとふいに声をかけられた。
話を聞くとハンター向けの新聞を発光している会社の記者らしくインタビューをさせて欲しいとのことだった。
オトモのアイルーは「何だか怪しい奴ですにゃ」と警戒はしていたが、急ぎの依頼もないし少しでも生態調査ハンターが増えればという思いでそのインタビューに応じることになった。
場所を少しだけ移動し、噴水の淵に座りながらオトモアイルーを膝に乗せてはインタビューに答えていた。
最初は何故生態調査ハンターになったのかや、最近の気になるモンスターのことだったりと真面目な内容でオトモアイルーも安心して二人の受け答えを聞いていた。

「いやぁ、お忙しい中貴重なお時間有難う御座います!」
「とんでもないです。これで少しでも生態調査ハンターに興味を持ってくれるハンターさんが増えるなら嬉しいです」
「しかし……サークルに属していないのは意外でした」
「まぁ……調査専門のサークルって無いに等しいですからね」
「ペアの相手とかも居ないんですか?」
「そうですね。人数が多いとモンスターも警戒しますから。それに、私のペアは……この子が居ますから」

膝の上で丸くなっているオトモアイルーの頭を優しく撫でると小さな耳がぴょこぴょこと動く。

「この子が私の最高のパートナーなので。代わりになる相手なんて、居ませんよ」

の言葉に反応するようにオトモアイルーは小さく鳴いた。

▼ ミルキ(ハンターーハンター)

「ミルキ様? お着替えは済みましたか?」

ノックもせず、部屋の主の返事を聞かずにはミルキの部屋のドアを開けた。
ワイシャツのボタンを留めていたミルキは突然のの登場に驚き、瞬間的に背中を向けた。
は持ってきていたポーチをモニターの前に置きながらシャツが張り付いてる背中に首を傾げた。

「な、な、なんでお前はいつも突然開けんだよ!」
「あら? サイズ……合いませんでしたか? また横に成長されたんですか?」
「おい! 話しを聞けよ!」

真っ赤なドレスに身を包んだがミルキの前に回り込み、クスリと小さく笑う。

「ミルキ様。ボタン掛け違えてますよ」
「お前がいきなり開けるからだろ!」

は慣れない洋装を一人で着ると言って聞かないミルキの様子を見にきて正解だと思った。
コフーと独特な息遣いをしながら文句を永遠と垂れているミルキを椅子に座らせ、がボタンを正しく留め直す。
最初は抵抗を見せたミルキだったが、徐々に大人しくなり今はされるがままの状態となっている。

「髪の毛も自分でセットされたんですか?」
「と、当然だろ! オレだってやれば出来るんだよ!」
「ミルキ様。髪の毛のセットと言うのは洋服を来た後で行う物です。そして、くしで撫でるだけではセットとは言いませんからね」

痛い所を突かれたミルキは口を噤み、そっぽを向いた。

「年に一度のハッカー同士の大規模懇親会なんですから。今日ぐらいはバッチリ決めていきましょう」
「別にオレはそんなのに出なくたって情報ぐらい収集出来んだよ」
「生の声は大丈夫ですよ。それとも……やっぱり今年は私だけ参加してきましょうか?」
「……行く……っつってんだからさっさとやれよ!」
「はいはい。仰せのままに」

シャツのシワを伸ばし、襟元を正した後は持ってきていたポーチの中からくしとワックスを取り出した。
前髪を持ち上げられ、後ろに撫で付けるとミルキの細い目がさらに細くなる。

「格好良いですよ。ミルキ様」
「ふんっ。どうせお世辞かなんかだろ」
「いいえ。心からそう思います。いつか隣に立つ方が私ではない女性になってしまうかと思うと嫉妬で狂いそうになります」

乱れひとつないオールバックにはうっとりとして表情で見つめる。
自分は専任執事であるだけで、隣に立つ事を一生保証されているわけではない。
髪の毛を整えた後、キーボードの上に置かれた蝶ネクタイをつけて終えると「うん。やっぱり馬子にも衣装ですね!」とは手を叩いた。

「……今さりげなく失礼な事言ったよな!?」
「未来のお嫁さんが見つかると良いですね」

ポーチの中にくしとワックスを仕舞うを見ながら、ミルキは勢いよく立ち上がり、椅子の背もたれにかけていたジャケットを羽織ろうとするが腕が届かない。
それを見たが無言でサポートする。

「今更他の女とか面倒臭ぇよ」
「と、言いますと?」
「何でもない……行くぞ、ブス」
「はい。仰せのままに、ミルキ様」

ミルキは小さく鼻を鳴らして、の手を引いた。

▼ イルミ(ハンターハンター)

がゾルディック家に来て初めての夏。
まだ湿っぽい気候が続くが、そんなに日中とは裏腹に夜になると空には満天の星が輝く。
大都会で暮らしていた頃には見れなかった星空は何時見ても美しいものだと心からそう感じていた。
ある日の昼にゴトーの付き添いで街に買い出しに行った時、花屋で珍しいものを見つけて魅入ってしまった。
それに気がついたゴトーが面倒臭そうな顔をしながら「欲しいのか?」と聞かれた時には思わず即座に頷いてしまった。
裏庭に続くドアの立て掛けさせてもらった笹の葉が小さく揺れるのを見ながらはまた夜空を見上げる。

「何してるの?」

不意に後ろから声をかけられた。
ゆっくりと振り返るとドアに手を添えながら首を傾げているイルミがを見下ろしていた。

「お帰りなさい。ちょっと、天の川が綺麗なので見てました」
「ただいま。星なんてどれも同じだろ?」
「風情ですよ」
「ならこれもフゼイってやつ?」

イルミはそう言って外の壁に立てかけられた大きな笹を指差した。
指先を追うようにも笹を見ると「そうですね」と小さく笑った。

「ゴトーが草を買わされたって言ってたのはコレ?」
「草だなんて……笹だと教えたんですけどね」
「しかもなんか書かされたって」
「願い事ですよ?」
「願い事?」

イルミはの言葉を耳で受け止めながら笹の葉に括り付けられた紙の中から一枚に手を伸ばした。
決して上手くはないがその細長い紙には”チョコロボ君一生分!”の文字とキルアの名前が書かれていた。

「日本の文化で7月7日は七夕という風習があります。小さな紙に願い事を書いて飾るんです」
「ふーん。皆書いたの?」
「お仕事に行かれていたシルバさんとイルミさん以外には書いてもらいました」
のはどれ?」
「さ、探さないでください!」

短冊をかき分けてイルミはが書いた短冊を探す。
”愛娘とショッピングに死ぬまで行きたい”や、”頭がイカれてない執事に変えろ”、”玄米茶を飲んでみたい”など名前を見なくとも誰が書いた物なのか分かる物ばかりの中、一枚だけ異色を放つ物をイルミは見つけた。

「これ、ズルいよね」
「え……」

とある一枚の短冊を見ながらイルミは振り返った。
はその視線から逃れるように視線を逸らして夜空を見上げる。

「何て書いてあるの?」
「に、日本語が読めれば、読めますよ?」
「もう忘れた。ねぇ、何て書いたの?」
「えーっと……皆さんが健康で居られますように」
「嘘だね。イルミさんとずっと一緒に居られ」
「読めるじゃないですか!!!」

恥ずかしさのあまりは軽くイルミの膝を叩いた。
イルミは何も言わず笹から短冊を引き違った。

「ちょ、ちょっとイルミさん!」
「いらないよね?」
「いらないって……そ、そんな事ないですよ!」

イルミの手の中で丸められる短冊に眉を寄せながら見ていると人差し指で眉間を弾かれた。

「痛いっ!」
「もう叶ってるんだから今更必要ないってこと。それに叶えたい事は自分で叶えてこそ、でしょ?」

弾かれた場所がジンジンと熱を持って痛む。
「そう、ですね」と熱を持つ場所を押さえながらは笑った。

▼ 七海健斗(呪術廻戦)

まだまだ不慣れな補助監督の業務にはデスクに突っ伏していた。
先週の任務で七海を迎えに行く際、車をぶつけてバンパーをへこませて事への始末書は白紙のままの顔の下で下敷きになっている。
本当についていない。
まさか運転中に七海から受けた連絡のメッセージに胸が高鳴りすぎて運転を誤ってしまうとは思っても見なかった。
こんなどうしようもない理由を始末書に書けるわけがない。

頭を抱えて一人唸っていると何かが近くに置かれた音がした。
がゆっくりと顔を上げると顔の横には缶コーヒーが置かれていた。
それを置いた人物を確認する前に心地の良い音色が脳を揺さぶる。

「まだそのくだらない書類を出してなかったんですか?」

は勢いよく体を起こすと横に立って腕を組んで立つ七海をは潤ませた瞳で見上げた。

「にゃっ! にゃにゃみしゃん……!」
「七海です」
「いやっ! あの、えっ!? いやはや! な、何用ですか!?」
「落ち着いてください。様子を見に来ただけです」

その言葉には表情を崩したまらず抱きつこうとするが伸ばした両手は空を切る。
熱い抱擁を一歩下がって避けた七海はゴーグルに手を添えながら、ため息を吐いた。

「ど、どうして私の愛の抱擁を避けるんですか!」
「スーツを唾液と鼻水で汚されたくないので」
「嘘っ!? 垂れてましたか!?」

は慌ててスーツの袖口で口と鼻を覆った。
そう言うのはハンカチやティッシュで拭えと一言言ってやりたい表情を浮かべる七海を見上げながらは「失礼しました」と頭を下げた。

「でもあの……わざわざこちらに来るなんて、珍しいですね」
「先ほども言いましたが様子を見に来ただけです」
「よ、様子って私のですか!? そ、そりゃもう四六時中七海さんの事を考えてますよ!」
「気色悪いので止めてください。そしてさっさとその書類を提出して通常業務に戻ってください」

七海は小さくため息を吐いて一呼吸置いた後の頭を軽く頭を叩いた。

「貴女の居ない現場は静かすぎるので調子が狂います」
「ハウンッ……!!!」

まるで弾丸で心臓を撃ち抜かれたようにはだらしなく椅子の背もたれに体を預けた。
両手がピクピクと痙攣したかと思えばの目が力強く見開かれ、デスクへと向き直った。

「私……やります! 七海さんの側で七海さんの勇姿を見て七海さんのセクシーでキュートな姿を目に焼き付けて」
「では、私はこれで」
「はーい!!! 次の任務では必ずご一緒させて頂けるよう全力でこの書類をやっつけるであります!」

女子からぬ野太い雄叫びをあげながらは山積みの書類、そして先ほど自分の顔面の下で笑っていた書類を睨んだ。
七海はやれやれといった様子で部屋を出ながらスマートフォンを取り出してこの一連の流れを指示した人物に電話をかけた。

「七海です。明日には書類は全部提出されると思いますよ」

電話口の向こうから「さっすが僕の自慢の後輩、七海健人君だ!」と楽しそうな声に眉間に皺を刻んだ。

「彼女に一番効くのは君の一言だからねぇ」
「人の好意を利用しているようで気が進みませんが」
「とか言って、君も彼女には早く現場に戻って来て欲しいでしょ?」
「……要件は以上です。では」

居れば胸焼けするような愛を囁いてくるをうざったいとは思っていたが、が書類を溜め込んだせいで現場に来れなくなった事で代わりの者が補助監督として同行した時に酷い違和感を感じた。 周りをウロチョロされ、ねっとりとした視線が無くなるとそれはそれで寂しい。
またこれで来週から騒がしい任務になるかと思うと悪い気はしなかった。

▼ 杉本・尾形(ゴールデンカムイ)

は、杉本と尾形、どっちが好きなんだ?」
「え……?」

木の枝をアシリパと共に拾っていたは思わず腕に抱えていた枝を落としそうになった。
いきなりなんて話題を振ってるくるのかと思ったは顔を引きつらせながら「えーっと……?」と言葉を詰まらせた。
アシリパは耳飾りを揺らしながら真っ直ぐな瞳でを見ている。

「杉本か? それとも尾形か?」
「え? 待って待ってアシリパちゃん……急にどうしたの?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! ねぇ、何でその中に俺は入ってないの?! ねぇねぇ!」

狩りの役立たずとして一緒に残った白石があたふたしながら反応する。
アシリパは少しだけ目を伏せながら足元の枝を拾った。

の見る目が違う」
「目?」
「白石を見る時は優しい。でも、杉本と尾形を見る時は……もっと優しい」
「俺の事ももっと優しい目で見てぇ?」

体をくねらせる白石を無視しては困ったように笑った。

「あぁ……たぶんそれはね……母性本能かもしれないね」

その言葉にアシリパと白石は首を傾げた。
は枝を抱え直しながら「あの二人って何か可愛いんだよね」と笑った。

は杉本と尾形のこと、可愛いと思っているのか……?」
「うん。可愛いよ」

そのの言葉に対して白石の「え? 俺も可愛い……よね?」の問いは静かに空へと溶けた。

*****

「ははっ。可愛いだとよ? 良かったな、杉本一等一等卒」
「……いや、お前だって同じ枠で括られてるからな?」

草木に身を隠しながら二人はこそこそと話していた。

「こんなコウモリ野郎の何処か可愛いんだよぉ。ちゃんも見る目無いないなぁ」
「全くだ。いくら撃ってたも刺しても死なねぇ奴なんざただの不気味な男なだけだろ」

ぶつぶつと呟く二人は真っ直ぐにを見ながら「で、どっちなんだよ」と零す。

2021.03.08 UP
2021.08.16 加筆修正